学術情報

第49回 東海・北陸地区鶏病技術研修会 

場所:三重県総合文化センター 生涯学習センター 大研修室

日時:2014年11月21日 10:00~16:00

 

技術検討会(一般講演)では演題8題が発表されました。その中の一つである「ブロイラーにおけるマレック病の発生と対策」を紹介致します。

 

タイトル:ブロイラーにおけるマレック病の発生と対策 

報告者:岐阜アグリフーズ株式会社 後藤 新平、髙橋 祥子、遠藤 裕久

 

近年、ブロイラー農場においては、オールイン・オールアウトの励行や、マレック病(MD)ワクチンの実施により、MDの発生は著しく減少している。

 

岐阜県内のTブロイラー農場において、一部の鶏舎で、地鶏の飼育(80日齢以上で出荷)を始めたところ、出荷日齢の関係で、農場ごとのオールアウトができなくなり、その結果、ブロイラーにMDの発生が見られるようになったので、その概要と対策を報告する。

 

【発生概要】

  1. 鶏舎概要:K棟(ウィンドウイス鶏舎)、A,B,C,D棟(セミウィンドウイス鶏舎)、1~7号(開放鶏舎)。
  2. 飼養羽数:K棟(ブロイラー:12,000羽)、A,B,C,D棟(ブロイラー:各5,000羽)、1,2,3号(ブロイラー:各7,000羽)、4,5,6,7号(地鶏:各4,800羽)。
  3. 消毒方法:除糞 → 掃き掃除 → 汎用重質洗浄剤(界面活性剤+苛性ソーダ)→ 水洗 → 逆性石鹸噴霧消毒  → オルソ剤消毒(床)→ グルタラール剤噴霧消毒。
  4. 入雛出荷:2014年1月入雛、3月出荷(出荷日齢は48~52日)。
  5. ワクチン:K,1,2,3,4,A,B鶏舎は初生雛にMD(HVT+SB1)ワクチンを皮下接種。C,D鶏舎はMD(HVT+SB1)ワクチンを卵内接種。
  6. 発生状況:MD発生率(食鳥検査で、MDと診断された数を出荷羽数で割った比率)はK(1.82%), 1(1.59%), 2(0.88%), 3(2.46%), A(2.08%), B(5.93%), C(0.14%), D(0.04%)で、全体では出荷羽数49,984羽中894羽(1.79%)であった。

 

【対策】

  1. 管理区分:ブロイラー管理者と地鶏管理者の区分けをし、交差汚染を防止する。
  2. 消毒強化:逆性石鹸とグルタラール剤を発泡消毒法に切り替え、消毒効果をあげる。
  3. ワクチン:従来のMDワクチン(HVT+SB1)にCVI(バックスオンMD(CVI)-N:vaxxinova)ワクチンを混合して卵内または初生雛皮下接種をする。

 

【結果】

  1. 2014年4~5月入雛群は、MDワクチン(HVT+SB1)にCVIワクチンを混合し、K,A,B,C,D棟では初生雛に皮下接種を、1,2,3号では卵内接種をおこない入雛した結果、6月の出荷時は、K(0.29%),1(0.00%),2(0.00%),3(0.00%),A(0.22%),B(0.37%),C(0.11%),D(0.27%)で、全体では出荷羽数45,960羽中77羽(0.17%)と発生率は1/10に激減した。
  2. 2014年7月入雛、8~9月出荷の鶏群では、従来のMDワクチンにもどしたが、いずれの鶏群にもMDの発生は見られなかった。
  3. 4,5,6,7号の地鶏については、6~10月に、MDワクチン(HVT+SB1)にCVIワクチンを混合し、卵内接種をして入雛しているが、10月に出荷を終えた4号についてはMDの発生は見られなかった。他鶏群も臨床的にMD症状を示すものは見られない。

 

以上の結果から、MD対策(3項目)はMD発生防止に効果があったものと考えられる。

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【監修】

HP委員会


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